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2025.10.23

女子野球アジアカップ26日開幕 4連覇目指す侍ジャパンのエース?柏﨑「先輩が築いた歴史と伝統をつなぐ」

 女子野球の第4回BFAアジアカップが10月26日から11月1日まで中国?杭州で開催されます。日本代表?侍ジャパン女子は今回、若手の強化も視野にオール大学生で編成され、昨年のWBSC女子野球ワールドカップで7連覇を達成した中島梨紗監督、横井光治氏(大阪体育大学監督)らコーチ3人のもとで4連覇を目指します。
 エースとして期待されるのが、投手陣唯一の4年生で、フル代表だった前回のアジアカップ(香港)代表候補では最終選考で選から漏れた大阪体育大学?柏﨑咲和(かしざき?さわ)投手(体育学部4年、福井工業大学附属福井)。柏﨑投手に意気込みを聞きました。

柏﨑咲和【大阪体育大学】

柏﨑咲和

◆大体大から5人。誇りを持ってプレーしたい


――アジアカップでは4連覇がかかる。抱負を
 今回は大学生の代表ですが、3連覇を築いてきた先輩たちの歴史や伝統を引き継ぎ、4連覇を達成したい。
――柏﨑投手は、球種はカーブ、スラーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットと多彩で、ピンチでのギアの上げ方などマウンドさばきに優れる。大会ではどんな投球をしたいか
 チームを勝たせるピッチングをしたい。与えられたイニングを最少失点に抑えて次につなぐ。しっかり締める。任されたイニングは絶対ゼロで切りたい。
――エースとしての自覚は
 その実感はありませんが、前回のアジアカップで候補に選んでいただいたのは、このチームで自分1人。日本代表としてあるべき姿、するべきプレー、見せるべきプレーを候補合宿などで見てきました。そこを体現して、チーム全体をいい方向に引っ張るようなピッチングができれば、エースと呼べるのではないかなと思います。
――代表には、大阪体育大学から最多の5人が選出された
 光栄に思います。また、5人中4年生が4人いるので、最上級生としてチームを引っ張りたい。体大の選ばれていない選手たちの分も誇りを持ち、胸を張ってプレーしたい。
――昨年のW杯では1学年先輩の白石美優(現阪神タイガースWomen)がMVPと首位打者を獲得した。意識するか
 昨年、美優さんがMVPを獲得したと知った時は、「あのトップクラスのメンバーの中で!」と衝撃でした。自分たちの可能性、大学生でも結果を出せることを見せてくれました。自分たちもMVPやタイトルを取れる選手になるよう頑張ろうと思いました。

◆男子に負けたくない思いでリトルから野球


――横浜市出身。横浜?青葉緑東リトル、福井工業大学附属福井中学?高校を経て大体大に進んだ。野球を始めたきっかけは
 3歳の時に兄が野球を始めて、チームの人数が足りないので立っとくだけでいいからと、特別許可でグラウンドに立たされたのがきっかけです。小学3年夏までは青葉緑東リトルのジュニアクラスでティーボールをして、その後は硬式。小4ぐらいの時、試合でピッチャーが投げられなくなり、「一回投げてみろ」と。1イニングだけ投げたのですが、全球ストライクを投げて「コントロールいいじゃん」と、それから投手になりました。
――女子の壁は感じなかったか
 チームで女子は1人だけでした。試合で自分が打席に入ると、内野手がめっちゃ前に来る。マウンドに上がると、小柄だったこともあり、「向こうのチーム、なめたピッチャー出してきた」みたいな雰囲気があったので、それに負けたくなかった。負けず嫌いなので、男子に負けたくないし負けられないという思いで、野球をやっていました。
――なぜ中学から福井へ
 中学からソフトボールに転向するか、土日だけのクラブチームで野球を続けるか迷いました。自分は毎日、野球をしたい。そう思っていた時、福井工業大学附属福井中学?高校の中村薫監督に声をかけていただいて、レベルの高い環境を体験しました。福井から横浜に帰る途中、私が「福井行くわ」と言った時、両親はとても驚いたそうですが、背中を押してくれました。
柏﨑咲和【大阪体育大学】

◆スポーツ心理学、バイオメカニクスの授業もプラスに


――福井では
 中学では高校生といっしょに練習し、高校では1年の時、投手として全日本女子硬式ユース大会で優勝しました。ただ、3年の春は初戦負け、夏はベスト8でした。
――なぜ大体大に
 高校で野球を終えて一般受験で進学することも考えましたが、「やっぱり野球は捨てきれないな」と思っていた時、横井監督に声をかけていただきました。
――大学でのスポーツ科学の授業は野球に役立っているか
 特にスポーツ心理学は試合や練習ですぐに実践できることが学べます。「あっ、今度試合でやってみようかな」などと授業で思うことが多々あり、興味深かったです。担当の小菅萌先生(スポーツ科学部准教授)はスポーツでのリーダーシップ論が専門なのですが、授業を聴きながら、「最上学年としてこんなこともできるんじゃないかな」などと考えることが多かったです。また、バイオメカニクスの授業では、体操競技部男子の監督の藤原敏行先生から体の大きさよりも、体をいかに上手に使うことが大切かなどを学びました。

◆前回大会は最終選考で落選。豪州に留学


――前回の2023年5月アジアカップ(2023年?香港)では最終選考で落選した
 1年生(2022年)の時、候補合宿に体大から(白石)美優さんと2人で参加しました。候補のメンバーがすごすぎて、ある意味「選ばれたらラッキー」の気持ちで緊張することなく、1次合宿は自分らしい投球ができましたが、最終選考は緊張しました。
――2年生でオーストラリアに半年間留学した
 侍ジャパンの中島監督から誘っていただき、10月から半年間。メルボルンで語学学校に通いながらクラブチームでサマーリーグに参加し、毎週末試合をしました。技術のレベルは日本の方が高いと思いますが、心の底から野球を楽しみ、みんなで励まし合う雰囲気がすごく好きで、 「自分の結果がすべてではない」ことを知ったのが一番大きかったと思います。それまでは、自分の結果を優先する部分がありましたが、チームが勝つために自分が何をできるか、自分ファーストでなくチームで頑張ろうということを学びました。

◆道端のごみ拾いも野球に通じる


――横井監督が評価するのは、道を歩いていてごみを見つけると必ず拾うなど野球以外の普段の姿勢だ。試合後は完投した後でも次の試合のために率先してグラウンド整備をする
 中学?高校時代に中村監督から「目配り、気配り、心配り。野球はすべてつながっている」と言われ、私生活やチームメートへの態度が全部自分の野球に返ってくることを教えられました。最初はグラウンドのごみだけでしたが、続けていくうちに、街でも道端のごみを見つけたら拾うようにしています。また、自分が投げている時にサポートしてくれているのは試合に出ていない人ですし、試合後の後片付けや整備は自分が率先してやろうと心がけています。

侍ジャパンコーチの横井光治監督、代表の木村睦実(左端)、山本一花と
【大阪体育大学】

侍ジャパンコーチの横井光治監督、代表の木村睦実(左端)、山本一花と

◆女子野球への追い風を肌で感じる


――侍ジャパンに選ばれた感想は
 前回は候補までは選んでいただきましたが、あのタテジマのジャパンのユニホームを着ることができなかった。やっと、そのユニホームに袖を通せることのうれしさを強く感じると同時に、責任、自覚を持ってプレーしないといけないと改めて思いました。
――8月の全日本インカレは、決勝は初めて明治神宮野球場での開催。しかし、3日連投となった準決勝で力尽きた
 自分たちが出ない神宮での決勝を考えると悔しい。今でも振り返ると、「本当に神宮出たかったんだな、自分」と思い知らされます。
――女子野球は、プロの阪神、巨人が相次いで女子チームを創設した。夏の全国高校女子硬式野球選手権の決勝は2021年から阪神甲子園球場で、春の全国高校女子硬式野球選抜大会の決勝が2022年から東京ドームで開催されている。大学も今年から全日本インカレ決勝の舞台が大学野球の聖地である神宮球場となるなど、野球界全体の後押しを受け、追い風が吹く。プレーヤーとして意識するか
 はい。イチローさんの応援(女子高校選抜チームとの対戦)もあり、テレビやインターネットでも女子野球の報道が増え、本当に発展してきたと思います。女子選手にとって、目標となる舞台、目指す場所が増えていると感じます。

――女子野球のいっそうの発展に向け、侍のユニホームを着る者の責任は重い
 女子野球の発展のためには、将来、野球を続ける女の子が増えることが大切ですが、そのためには自分たちが結果を残し続けなければならない。自分自身も次のW杯でメンバーに入れるよう全力を尽くして、結果を残したい。

◆野球が好きな女の子へ 「あきらめずに野球を続けて」


――女子野球選手を目指す子どもたちへ
 男子の中で野球をしている女の子にとって、やりにくい環境は多いと思います。でも、女子チームが増え、全国各地に女子野球タウンができるなど、女子野球の環境が整っていく動きはこれからも進んでいくと信じているので、とにかく野球を辞めないでほしい。男の子の中でやりにくいから辞めちゃおうかなと思うのは、すごくもったいない。野球が好きという感情が少しでもあるのなら、その感情が続く限り野球を続けてほしい。

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