令和2年度学生相談室教育セミナーが7月30日、オンラインで開かれました。本学非常勤講師で学生相談室カウンセラーの前林清和?神戸学院大学教授が「コロナ禍において不安を抱える学生への対応について」をテーマに教職員に向けて講演しました。
前林氏は臨床心理学、社会防災論等を研究され、東日本大震災の被災地などでカウンセリングにあたりました。
講演では冒頭に「コロナ禍の現在、全ての人は被災地にいる」とし、学生は「感染」「授業」「就職」「部活動」「授業料?生活費」など様々な不安と負担を感じ、活動やイベントの自粛は?制限は喪失体験、意欲の減退?諦めなどにつながりかねないと指摘しました。
そのうえで、教職員が学生と普段よりも時間をかけてコミュニケーションを取ることや孤立を防ぐことを呼びかけ、その際の要点として「カウンセリングをしようと思わない」「正確な情報?見通しを伝えることが安心につながる」「無理に答えを出す必要はない」「教職員が心配していることが伝わるだけでも『自分は一人ではない』という安心感につながる」等を挙げました。
また、教職員も極度の疲労と圧倒されている感じ(バーンアウト)やコロナの濃厚接触者の様子を聞くことで自分もストレス反応を経験している(二次的外傷性ストレス)として、ストレスを蓄積させないよう休憩、信頼できる他者への相談のほか、あまりきちっとしすぎない余裕のある授業計画や生活が必要だと指摘しました。
質疑応答では、「カウンセリングしようと思わない」の具体的な意味について質問があり、前林氏は「教員はアドバイス、指導をすることが基本だが、カウンセラーは相手の話を聞いて心に寄り添い、ほぼアドバイスはしない。答えは本人が見つける」と答えました。感染から復帰した学生への対応法を問われると、「まず『良かったね』と伝えること。元気になったことを喜ぶことからスタートする」と説明していました。
企画を担当した体育学部の土屋裕睦教授(相談室カウンセラー)は、「コロナ禍にあって、将来や今後に不安を感じている学生が増えているが、それは見方を変えれば、もっと自分らしく生きていきたいという気持ちの表れでもある。これからも、教職員が研修や意見交換を重ね、学生の気持ちに寄り添った教育や支援の在り方を模索していきたい」と語りました。
※学生相談室に関心のある方はこちらをご覧ください。
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